郷土玩具は日本全国それぞれの地域でつくられている伝統工芸品の一つです。3年前、犬張子をお店で見かけて、「何これ!?可愛い!」と惹かれたことがきっかけで、郷土玩具に興味を持ちました。地域特有の形や縁起の良い配色、動物のデフォルメの仕方、自然素材のぬくもりすべてが「愛らしい」と感じる魅力的な部分です。私も「張り子」という型に紙を張り付ける技法でいくつか制作しています。他にも、粘土や木でつくられたものもあり、いつか工房を訪れたり、旅先で地域の郷土玩具を集めていきたいです。


中国地方​​​​​​​
山口県
①河豚笛:ふぐぶえ 山口県はふぐが有名。粘土製の笛で、しっぽの部分を吹いて音を出します。「ホウホウ」のようなフクロウの鳴き声のような音がします。目がくりくりで可愛らしいです。
②柳井金魚提灯:やないきんぎょちょうちん 山口県では「柳井金魚ちょうちん祭り」というお祭りは夏に開催されます。会場内には4500個ほどの金魚ちょうちんが飾られます。竹で組んだ骨組みに和紙を貼り、伝統織物「柳井縞」の染料で染色されます。夏に涼し気な郷土玩具です。
広島県
③宮島張子:みやじまはりこ 宮島張子はたくさん種類があり、メキシコのような色使いが特徴です。 宮島らしい鹿をモチーフにした張り子や「起き上がり鳥」という20種類ほどある張り子があります。お気に入りの一つを見つけるのが面白いかもしれません。
④三原だるま:みはらだるま 起き上がりこぼしのつくりになっています。三原はタコが有名で、8本足の末広がりな様子と当て字で「多幸」としてとても縁起のいいものになっています。少しとぼけたタコの表情が面白いです。​​​​​​​
岡山県
⑤鴨方土人形:かもがたつちにんぎょう 猫をモチーフにした郷土玩具が多くあります。「豆福助」は見た目は人間ですが招き猫のポーズをしていたり、「対招き猫は」右手はお金、左手は人を呼ぶといわれている招き猫がどちらもついているとても縁起の良い組み合わせです。
⑥吉備津土人形:きびつつちにんぎょう 吉備津神社で手に入れることができます。吉備津猿は近年廃絶してしまった郷土玩具の一つです。素朴な表情が親しみやすい印象に感じます。​​​​​​​
鳥取県
⑦木彫十二支:「おぐら屋」という工房で、90年前からつくられているものです。ろくろで挽いた胴体や顔などの木製部材を接着し、胡粉と泥絵の具で着彩したものです。おぐら屋8代目が「日本に古くから伝わる干支を大切にしてほしい」という思いから開発されました。私が今1番欲しい郷土玩具です。
⑧因幡の白兎:いなばのしろうさぎ 起き上がり張り子。縁結びや子供の成長を願う縁起物です。出雲大社の祭神・大国主命に助けられた白兎がモチーフになっています。製作している「倉吉張子」はほかにも「はこた人形」で有名です。
島根県
⑨松江の蒸気船:まつえのじょうきせん 明治の中頃、松江~舞鶴の航路で初めて行き来した蒸気船がモデルです。積み木のように組み合わせた木製玩具で4つの車輪がついています。船尾には日の丸の旗がついています。少しレトロな印象で他の郷土玩具とは違った雰囲気が素敵です。
⑩五色天神:ごしきてんじん 出雲地方では江戸時代から、男の子が生まれると桃の節句に白の衣裳を着た白天神を雛壇に飾る風習がありました。廃絶した白天神様の代わりに出西窯でかつて復元されていた小型の天神様を送るようになりました。​​​​​​​
コレクション

私が集めている本物の郷土玩具たちです。旅先では絶対手に入れたい!コツコツ集めています。​​​​​​​
熊本県 木の葉猿:このはざる​​​​​​​
大分県 木うそ:きうそ​​​​​​​
東京都 犬張子:いぬはりこ​​​​​​​
鹿児島県 鯛車:たいぐるま​​​​​​​
広島県 宮島張子:みやじまはりこ​​​​​​​
岡山県 吉備津猿:きびつざる​​​​​​​
鳥取県 因幡の白兎:いなばのしろうさぎ



今後の制作に向けて
郷土玩具の魅力は奥深く、素材から作り方まですべてが地域によって違います。悲しいことに、地域によっては廃絶寸前、廃絶してしまったという郷土玩具も少なくありません。私は、郷土玩具というとても可愛らしくてぬくもりのある伝統工芸品をもっとみんなに知ってほしいと思っています。そのためには、「張り子」で既存の郷土玩具をオマージュした作品を制作したり、「木」を使った郷土玩具の技術を真似て再現してみたりと、元々ある文化をさらに繋げていきたいです。加えて、地元の和紙や木を組み合わせて表現することも考えています。郷土玩具がインテリアとして飾ってもらえるような、身近な存在になるように活動してきたいです。

2021    sano yuuna

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